サビアンシンボルにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのイメージからスプレッドを作り、カードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つは度数に対応するカードからサビアンを考察してみることです(対応表はこちら)。
スプレッド
1.近所の人々
2.家を建てる
近所の人々カードは、手助けです。
家を建てるカードは、近所の人々の助けを借りて行う共同作業です。
リーディング結果
1.近所の人々:カップ10
2.家を建てる:カップ5逆
カップ10の近所の人々、みんな仲良く和気あいあいと、「仲間だろ!?」と共同体ぐるみで手伝ってくれる人々。家造りエンジョイしてそう。
カップ5逆の家を建てる。悲しみを取り除く共同作業。
カップ10のパワーでカップ5を追い払う。火災の悲劇を乗り越える家の再建や、夫を亡くした未亡人の家をみんなで建ててあげている、そんなイメージ。
解説の要約
ルディア:小さな村で近所の人々の協力により家を建てる
西部開拓時代などでは、家はしばしば集団で友好的に建てられました。新参者の家造りは、親切な近所の人に助けられます。こうした共同作業によって、一体感や共同事業への参加意識が育まれました。この家は「我が家」であり続けますが、その建設と完成を祝う歓迎にはコミュニティ全体が関わっています。共同作業で示される共同体意識。キーワードは「協力」。
ジョーンズ:家の棟上げ
単純な協力によって人間の精神が不屈に伸び、個人が仲間を通して自分の達成を求めます。個人的利益のための努力を共同事業で強化する喜びと、いざというとき家族や隣人に頼ることができるという安心感。他人から好意や協力を獲得し、並外れた達成力を発揮。キーワードは「手助け」。
基本的にはどちらも、共同作業でなにかを達成すること、それによって生まれる共同体意識や安心感について解説しています。
タロット対応
この度数のタロット対応は、カップ5(目的)/カップ7・ワンド8(手段)。ドデカテモリーは蠍座から射手座へ移り変わるポイントです。
目的カードは引き続きカップ5。感情面でのインパクト、ショック、異質さの強調や心の揺さぶりが目指されます。
その目的となるカードは2枚。カップ7は伝統的にはアイデアや想像、あるいは夢見がちや幻を意味します。カップという感情・共感・シンボリックなつながりにおける、7の一方通行性と考えると、このカードは一方的に感情が流れ込んでくることを示しています。それは感受性の強さなどとして現れます。このサビアンシンボルにおいては、「これからどんな家を作ろうか!」というイマジネーションの豊かさを示しているかもしれません。
ここまでの考察で、7のカードは上下関係やギャップに関連することも多かったです。天秤座20度「ラビ」のペンタ7、天秤座28度「霊的な力」のワンド7など。特に天秤座5度「内なる知識を生徒に明かす男」はカップ7、この蠍座3度と手段カードが共通しています。教師と生徒の上下関係の中で、知識は教師から生徒へ一方的に流れ込みます。カップなので、この知識とは心に関わるもの、シンボリックなつながりに関するものだったと思われます。
蠍座3度でのカップ7は、すでに共同体である近所の人々と、新参者との間の上下関係、ギャップを示しています。共同体の人々から、新参者へと一方的に共感が流れ込んでいる様子です。
ワンド8はスピード感などを表すカードです。この家の建設はすごいスピードで手際よく行われているのかも。ワンドは情熱、モチベーション、8は集中、結晶化なので、近所の人々がすごい熱意を持って集合している様子も浮かびます。大勢で集中してやってチャチャっと終わらせよう!という。
2枚の手段カードを考慮すると、高いモチベーションを持ち、一方的に共感を与える近所の人々の協力によって家が立つ。こうしたことはカップ5の目的、感情面でのインパクトやショックのために行われているものです。「なんて親切で熱意ある人々が集まっているんだ!」というインパクト、あるいは感動による心への揺さぶり。
高い感受性と熱量の集中により、感情的インパクトを作り出そうとする度数といえます。
この度数に太陽を持つ人物
舞踏家 大野一雄
日本の前衛舞踏の創始者の一人であり、それを世界へ広めた国際的評価も高い舞踏家です。舞踏は非常に高い集中力を必要とする、魂をそこに結晶化させるような踊りの一つです。白塗りなどで「異質な」外見を作ることもあります。しかし、ときには少女のような感受性を見せることもあります。
高い感受性(カップ7)によってエモーショナルなエネルギーを受信し、それを集中化させる(ワンド8)ことで、観客の心に強いインパクトを与えている(カップ5)、と読めます。
リーディング結果の見直し
目的カードであるカップ5が、逆位置として出ているのがポイントになりそうです。カップ5的な悲しみを共同作業で取り除くことで、新たにまた別のカップ5的な心の揺さぶりが起きている。カップ10の手助けに温かく迎え入れられることで、感動が起きている。
みなさんのカード
本日もトライどうもありがとうございました!
蠍座1度
蠍座2度
参考:サビアン研究会、Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」、「The Astrology of Personality」、Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」、アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」