サビアンシンボルにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのイメージからスプレッドを作り、カードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つは度数に対応するカードからサビアンを考察してみることです(対応表はこちら)。
スプレッド
1.山
2.山
3.山
これらのカードは、知識へのホリスティックな(全体論的な)アプローチを示しています。このアプローチによって世界を知り、世界の行く末を予測できる、物事への哲学的理解が達成されます。
ジョーンズの解説に習い、それぞれを「スキル」「忠誠心」「理想」と読むのもよいでしょう。
リーディング結果
1.山:審判
2.山:ソード8
3.山:魔術師
審判の山、知識への革命的なアプローチ。物事をひっくり返すような見方をするスキル。
ソード8の山、理論の完成によるアプローチ。どこから突っ込まれても大丈夫なロジックへの忠誠心。
魔術師の山、実験的なアプローチ。自分の意思によって知識を理解するのが理想。
審判は13度のシャボン玉、21度のビーチ、26度の鷲として全部逆位置で登場し、ここでついに正位置となりました。魔術師は25度で紅葉から啓示を受け取った巡礼者カードでもあります。あのときの巡礼者が、天秤座でずっと抑えられてきた審判の革命的なエネルギーをついに解放した。
意思と確かな理論を持ち、革命的・実験的に、知識へアプローチをしている。
解説の要約
ルディア:哲学者の頭にある3つの知識の山
哲学的理解の達成。真の哲学者とは、単に「知る」だけでなく「理解」できる人、科学の人とはまったく異なる知恵の人です。理解の前には知識がなければなりませんが、知識だけでは知恵を枯渇させ、破壊することもあります。理解と知恵は、共同体の生活、対人関係や集団関係に育まれます。真の知恵は人間の本質に根ざし、文化的価値観を超えているのにもかかわらず、常に文化的要素が関わります。普遍性に基づいた「知識へのホリスティックなアプローチ」です。
※このシンボルは「骨相学(その人の気質や能力が頭蓋骨の形に現れるという考え。手相学の頭蓋骨版)」を示しています。
ジョーンズ:哲学者の頭にある3つの知識の山
物事の永遠の適合性を理解し、自分の特別な指針にできます。スキル、忠誠心、理想などを完全に、かつ平等に伸ばすことで、自分の人格や仕事に現れる宇宙秩序を認識しようという挑戦。こうして人は世界を知るようになり、その結果、世界の行く末を予測できるようになります。自己の完全な統合性と、すべての進歩を促進する卓越した才能。キーワードは「予見、先見」。
タロット対応
この度数のタロット対応はソード4(目的)/ペンタ10(手段)。ドデカテモリーは乙女座です。
天秤座21度から続いたソード4の目的はここで終わります。知性や思考の安定化、定着、秩序、パターン化。
手段となるカードはペンタクル10。ペンタは物質的、経済的、社会的なエネルギー。10はそれが完成し、絶対化する数字です。10となるとそのスートの価値だけが重要なものとなり、それ以外のスートの要素は排除されます。8の完成から飛び出した9が、ついに到達する絶対的な価値観、もはやそのスートしかない世界が10なのです。
29度「世代を超えて伝達可能な知識」で時間を超えた先、十分にその知識が過去・未来・現在共に行き渡った状態がここ、と考えることもできます。また29度の人物アーシュラ・K・ル=グウィンの「航海」モチーフで言えば、ある島から飛び出して別の島へ到達し、そこにも同じ価値観が染み渡ってすべての島が統一された状態。ある範囲内で社会文化的な共同体が完成している。
この「全体が統一、完成」という状態が、ルディアの言う「ホリスティック(全体論的な)アプローチ」とつながりそうです。こうした統一やホリスティックなアプローチは、ソード4の知識や思考の安定化のために行われます。全体をまとめあげるのは、その中で同じ考え方を浸透させ、定着させ、維持させるためです。
あるいは逆に、ある統一された全体の中にある、普遍的な考え方を取り出してそれを定着させようとする姿勢もありそうです。その世界全体の統一的・普遍的な考えを取り出せれば、ジョーンズの「世界を知るようになり、その結果、世界の行く末を予測できる」も成り立ちます。
ルディアの言葉はこのようにカードに当てはめられます。「理解と知恵(ソード4)は、共同体(ペンタ10)の生活、対人関係や集団関係に育まれます」
まとめると、ある考え方を全体に定着させるため社会的統一を目指す度数。あるいは、ある実質的・物質的世界全体、社会全体の中にある普遍的な考え方を取り出すことで、それを定着させようとする度数。前者が際立てば社会統一のためビジネスや政治的に立ち回る力、後者が際立てば哲学者的に世界を見る姿勢になります。
この度数に太陽のある人物
ジャニーズ事務所創業者 ジャニー喜多川
日本の芸能界を席巻するジャニーズ事務所は、ある意味では業界をほぼ統一しており、ジャニー喜多川自身の考え方や思想を全体に定着させています。ジャニーズ事務所のタレントが芸能界のどこでも見られることは、業界全体へのホリスティックなアプローチです。
リーディング結果の見直し
自分のカードを見直してみると、ある世界・社会全体の中にある普遍的な考え方を取り出そうとするときに、これらの3枚のカードが示すアプローチをしている、と読み解けます。
普遍的考えを取り出すために、意思と確かな理論を持ち、革命的・実験的にアプローチをしている。
みなさんのカード
本日もトライありがとうございます!
28度
29度
参考:サビアン研究会、Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」、「The Astrology of Personality」、Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」