サビアンシンボルにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのイメージからスプレッドを作り、カードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つは度数に対応するカードからサビアンを考察してみることです(対応表はこちら)。
スプレッド
1.霊的な力
このカードは、内なる確信を生むより大きな全体への所属感です。
目に見えるコミュニティであろうと、見えないコミュニティであろうと、個人は大きな全体に支えられています。普通の人間にとってそれは家族や地域や国家のコミュニティですが、意識を拡大すると超越的な心のコミュニティの存在に気付けるかもしれません。
リーディング結果
1.霊的な力:カップエース逆
このカードの逆位置は「所属感のなさ」とも読めます。カップエースの逆位置は、より大きな感情的コミュニティに所属できていない感覚。あるいは「個人の感情を超越したコミュニティ」への所属感かもしれません。
解説の要約
ルディア:霊的な力に囲まれ、助けられることに気づく人
個別の生物はより大きな有機体全体の一部です。しかし人間は自我の孤立という暗い道をわざわざ選んでしまうものです。普通の人間にとって、全体とは部族や家族、村落共同体、国家のことですが、個人が意識を拡大させれば「超越心(スーパーマインド)」の純粋な光の領域、霊的なコミュニティを認識するようになるでしょう。葛藤の世界を超え、全存在の合一を一瞬でも体験した人には、より大きな全体に「属している」という実感がもたらされるはずです。自分は決して一人ではなく、可視もしくは不可視の「コミュニティ」が努力を支えてくれているという認識により、「内なる確信」が生まれます。
ジョーンズ:輝く影響の中にいる人
人生に真剣に取り組み、世界の根底にある好意を受け入れたときに得られる永続的な報酬です。誰もが頼ることのできる励ましの言葉があり、巡礼の道を闇から光へ突き進む勇気は、達成への最高の保証となるのです。その人の気分をドラマ化し、その人の可能性を確認する状況が見られます。人類との完全な霊的親交。キーワードは「応答、反応 」。
タロット対応
この度数のタロット対応はソード4(目的)/ワンド7・ペンタ8(手段)です。ドデカテモリーは獅子座から乙女座への切り替えポイント。
引き続き、ソード4の知性の安定、秩序、パターン化が目指されています。
その手段となるのは、ワンド7とペンタ8の2枚。7と8の組み合わせが手段カードになる度数として、天秤座では13度「シャボン玉を吹く子供たち(ソード3/ソード7・カップ8)」がありました。そのときは、ソード7が一方的に吹き込まれる息、カップ8が完全な球体となったシャボン液、という読み解きをしました。28度でもこの関係性がヒントになるかもしれません。
ワンドは情熱や意欲、個人の尊厳のスート。7はギャップのあるところに働く一方通行的な進行です。カードの絵で見ると、上に立つ人物と下にいるである人々との間に高低差というギャップがあり、そこに熱エネルギーの一方通行的な働きが起きています。ワンド6が情熱の相互交換を求めたのに対し、7は落差を作り一方的に熱を押し付けます。
天秤座での7のカードは、上下関係のあるシンボルを示すことも多かったようです。カップ7の5度「内なる知識を生徒たちに明かす男」、ペンタ7の7度「ユダヤ教のラビ」では、上のものから下のものへと知識や導きが降ろされます。これも7の一方通行的な働きです。28度でも「霊的な力」と「人間」という上下の関係があり、一方通行的にエネルギーが動いている。ワンドの火の元素は精神や魂を司るものでもあります。シャボン玉での息(ソードの風の要素)に対し、ここでは魂や精神あるいは熱が、人間以上のものから人間に向けて吹き込まれている。
ペンタ8は吹き込まれた後の様子と考えられます。ペンタは物質、また経済的・社会的なエネルギー。8は密度が高くなり結晶化し、一旦そのスートの価値が完成する数字です。ペンタ8は物質的・経済的・社会的なエネルギーの密度が高まり結晶化し、その価値が一旦完成します。宝石のような物質的結晶や富、技術の達成、社会的成功、立場や縁の完成。
ワンド7で吹き込まれた魂によって、ペンタ8の実際的な領域の完成が行われる。こうしたことはソード4の知的安定のために行われます。
この度数に太陽を持つ人物
ノーベル賞の設立者アルフレッド・ノーベル
ノーベルはダイナマイトの発明者でもあります。一方通行的な熱の押し付けである圧倒的火力(ワンド7)によって技術的達成や巨万の富、社会的成功(ペンタ8)を収めました。世界で最も権威あるノーベル賞も、上下のギャップからなる一方通行的な評価の授与(ワンド7)、そして受賞者の社会的立場の確立(ペンタ8)により、世界の知性の安定化と持続(ソード4)の一端を担っています。
この度数は「より大きなものから吹き込まれて完成する」だけではなく、「吹き込んで完成させる側」になることもあり得るのかもしれません。
リーディング結果の見直し
まず逆位置を「所属感のなさ」として読んだ場合は、どこからも熱を一方的に受け取っておらず、それにより感情エネルギーの実際的な完成が成されていない。感情が社会化されていない、とも読めます。
「個人の感情を超越したコミュニティへの所属感」として読んだ場合、より高いレベルのものから感情エネルギーを蒸発させてしまうような熱を受け取り、その蒸発によって実際的な完成を成し遂げている。
自分が「吹き込んで完成させる側」になるとしても、感情エネルギーを熱意を持って一方通行的に吹き込めず、相手の感情エネルギーも実質的な完成に至らない。エモーショナルなパワーを一方的に熱く押し付けることで相手の完成を目指しても良い、という示唆を読み解けます。
みなさんのカード
本日もトライありがとうございました!
23度
24度
25度
27度
参考:サビアン研究会、Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」、「The Astrology of Personality」、Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」、アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」
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