この「サビアンシンボルのタロットワーク」では、サビアンにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのビジュアルイメージからスプレッドを作り、実際にカードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つはその度数に対応するカードから、サビアンシンボルを考察してみることです(対応表はこちらにあります)。
解説の要約
ルディア:噴水で鳥たちに飲み物を与える子供
これは前のシンボル(21度)の反対の働きです。乾燥した土地に噴水を建てた人は、海へ行くのではなく、乾いた鳥たちに飲料水をもたらします。無限の海から受け取ったものを、渇望する有限の存在に与えることができます。子供と鳥は、本能的で純真な信頼関係、魂の接触を意味します。生命の再生を渇望する未発達な存在の福祉と幸福へ、シンプルな魂が関心を持っています。
ジョーンズ:噴水で鳥たちに飲み物を与える子供
友好関係への揺るぎない信頼があります。人生のチャンスは、それを選びさえすればいつでも利用できると発見した純真な楽観主義です。日々の成果は自己を正当化してくれ、理想と内面の本質を完成させる責任によって自己充足します。他者への創造的な関心を持つことで、その人は不死性を経験するのです。キーワードは「配慮、心配、気遣い」。
タロット対応
この度数のタロット対応はソード4/ソード9です。
引き続き、ソード4の知性の安定化が目的となります。4はスートのエネルギーがパターン化し、規則的に動くことで起こるチャージでもあります。乾いた鳥に水を与えることはこのエネルギーチャージを示しているようです。
手段カードもソードなので、ここもソードが強調されます。21度「ビーチの群衆」に引き続き、カードの絵からはサビアンとの共通性はほとんど感じられません。ジョーンズのキーワード「配慮、心配、気遣い」が、かろうじてカードの心配そうな人物とつながりはします。
9は、8で完成し固まったものから離脱し、まったく別の可能性や理想を求めて飛び出す数字です。ソードの場合は8でどこからツッコまれても大丈夫というロジックが完成しましたが、9はもう全方位に向けて答えを出すことに意味を見いだせず、その論理を飛び出してさらに高い別の考え方や答えを探そうとします。ソード8の強固な理論は常識化しましたが、その常識的考えからも離脱します。ただ飛び出したはいいものの、この段階ではまだ新しい答えが見つかる訳ではありません(それが見つかるのは10になってから)。とにかく8で出た答えを「それじゃないなにかがあるんだ」と否定し、探く思考し続けます。それがこのカードに当てはめられやすい苦悩や絶望といったキーワードにつながりますが、本質は「すでにある答えを否定し、答えのない問いを思考し続ける」というエネルギーです。
9の性質を見るとき、乙女座17度「火山の噴火」のペンタ9/カップ9を思い出すとわかりやすいかもしれません。2枚の9は9の特徴を強調します。8で完成し固まったものからの飛び出しは、山からマグマが噴出する、というイメージで視覚化されています。これはここでの噴水、水面からの水の噴出とも共通しています。
もう一つの9の特徴は、8でのスートの価値の完成から飛び出すために、別のスートの力を借りることがある、という点です。これは乙女座17度でペンタ(土)とカップ(水)が火山(火)の力を使って飛び出していることや、天秤座22度でソード(風)が噴水(水)の力で飛び出すことを説明できるかもしれません。
21度のソード8は全方位の情報ネットワークの完成と読みましたが、ここではそのネットワークの外側、海にいない乾いた土地の鳥に向けて飛び出していく、と考えてみることもできます。もう8の完成で十分ではあるけれども、それをさらに高めるためにそうでないところへも情報ネットワークの網目を伸ばしていく、そうすることによりソード4の知的安定を作り出そうとする度数と言えそうです。
スプレッド
1.子供
2.噴水
3.鳥たち
子供のカードは、無限から受け取ったものを与えるシンプルな魂です。
噴水は福祉と幸福。
鳥たちは、生命の再生を渇望する未発達な存在です。
リーディング結果
1.子供:太陽逆
2.噴水:ペンタエース
3.鳥たち:ペンタ6逆
太陽逆の子供、自信がない子供。おどおど水を与えている。あるいは、むしろ自己実現に夢中で水をあげていない可能性もあります。
ペンタエースの噴水、これは湧き出しています。ペンタなので物質的な価値を持った福祉と幸福。
ペンタ6逆の鳥たち。「この水はタダではないのでは・・・?」と対価を払わねばならないかもと警戒している印象。
子供がおどおどせず、堂々と水を与えれば、鳥も素直に飲んでくれそうです。
みなさんのカード
本日もトライありがとうございました!
21度
参考:サビアン研究会、Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」、「The Astrology of Personality」、Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」、アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」、Paul Huson「Mystical Origins of the Tarot」、「ピカトリクス」、マーカス・カッツ/タリ・グッドウィン「シークレット・オブ・ザ・タロット」
コメントを残す